• 102 月

    「お母さんごめんね、でも耐えられないから家を出ます。」

    母ががんになってまい、入院し、半年もしないうちに他界した。
    50歳だった。
    お葬式は密葬で身内だけで行った。
    母が離婚したので本当の父はお葬式に来なかったが、
    別居していた兄が来て久しぶりに顔を合わせる事ができた。

    「これからどうするんだ?お前の新しいお義父さんとうまくいってるのか?」
    兄の言葉に「おにいちゃん、大人になったね・・・」と感心した。
    兄:「俺の知り合いで土地持ちの奴がいて、
    その親がアパート持ってるからに相談してみようか?
    こんな事情なら相談にのってくれると思うんだ、さすがに他人と暮らすのはイヤだろ?」
    私:「うん、本当に嫌なの。お酒飲むと気持ち悪いし。」
    兄:「何か間違いでもあったらヤバイからな」

    兄と実父の段どりで蒲田のアパートに暮らせることになった。
    特に対立などはなく弁護士さんに相談することもなかった。
    ただ義父は納得していないようだったが、私とは意志の疎通ができないので
    仕方ないな、と判断してくれたようだ。

    私は別にスレていたわけではなく、真面目に高校を卒業して
    生活の為に進学は断念したけれどバイトしながら目的を探していた。

    時々、義父から電話が来た。私を心配してくれているらしい。
    今の私なら理解して有難く思えるが、当時の私にはただウザイ存在となってしまっていた。
    義父は当時まだ45歳位だったと思う。
    まだ結婚できる40代なんだから、新しい人をみつければいいのに・・・
    そう考えていた。